「子どもの頃はアトピーじゃなかったのに、肘裏や足の付け根のあたりがムズムズするようになった」
「社会人になってから首回りや目の周りなど、人に見られる部分が赤く乾燥するようになった」
とお悩みではありませんか?
以前は、アトピー性皮膚炎は子どもの病気、大人になれば自然と治るとされていました。
しかし、現代では大人になってから発症するケースが非常に多くなっています。
厚生労働省の患者調査によると、2006年頃に約30万人だったアトピー患者が、2014年には45万人を超える結果に。わずか10年の間に、15万人も増えている病気になっているのです。
さらに、その患者数の44%が20歳~44歳の成人だったことから、アトピー性皮膚炎=子供の病気とは言えない実情が明らかになりました。
そこで今回は、大人になってからアトピー性皮膚炎が発症する原因と対策法をご紹介します。

目次
大人(成人)アトピーの原因は、『免疫力が低下』しているから
子どもの頃はアトピーではなかったのに、大人になってから発症したのは、『免疫力の低下』が原因です。
参考免疫力とは、細菌やウイルスなどから守ろうとする力のこと。
免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなったりするだけでなく、アトピーやガンなどの病気を発症するリスクが出てきます。
「最近、体がムズムズするな~」
「突然、体にボツボツが出来るようになった」
このような症状が出ている場合、体が不調を訴えているサインと考えて良いです。
実は、つい50年前(1960年代)まではアトピー性皮膚炎とされる皮膚病は少なかったことが分かっています。アトピーが発症する人や、アトピーがなかなか治らない人が多くいる背景には、便利な世の中が関係しています。
現代社会はどんどん進化を遂げて便利になっていく反面、免疫力を低下させる要因にもなっているんですね。

免疫力低下を招く4つの要因:『運動不足』『睡眠不足』『加工食品』『ストレス』
私たちが生活している中で免疫力低下を招く要因は、『運動不足』『睡眠不足』『加工食品』『ストレス』の主な4つが挙げられます。
以上の4つは、アトピー以外の現代病の原因ともされています。
これらの項目が一つでも当てはまっていたら注意!
あなたの生活の中でもたらされる4つの要因によって、体に刻みこまれている免疫システムの機能を鈍らせてしまっているかもしれません。
では以下の順番で、免疫力低下を招く4つの要因を詳しく説明していきます。
- 運動不足
- 睡眠不足
- 加工食品
- ストレス
運動不足
あなたは、汗をかきにくい体質ではありませんか?
「最近、あまり汗をかかないなぁ・・・」と思った人は、『運動不足』です。
運動が習慣の人は、そうでない人に比べて代謝が良く汗をかきやすい体質のため、免疫力が高い傾向にあります。
運動と汗の関係をデータで解説します。
アトピー肌の人と、そうでない人の発汗量を調べた実験の一部です。
同世代のアトピーの方とそうでない方各20人を対象に、お湯を42℃に調節。入浴時間とお湯へのつかり方を一定にし、測定時の条件も同じにして、『局所発汗量連続記録装置』を用いて、額、首、肘の内側、背中の4ヶ所で発汗量を精密に測定しました。
実験の結果、アトピーの方の発汗量は、健常者よりも少ないことが明らかになりました。特に、額と背中ではっきりとその差が出たのです。
アトピー肌の人は汗がかきにくい体質であることがお分かりいただけると思います。
汗の量が少ないと、肌のセラミドが不足し、アトピー患者特有の乾燥肌が出来上がってしまうわけです。
世の中が便利になりすぎて、私たちは運動量が激減しています。
考えてみてください。
駅では、エレベーターやエスカレーターがあり階段は使わない。
会社では、デスクワークで用件をメールでやり取りすれば席を立つことはない。
子どもたちは、ゲームやスマホの普及から外で遊ぶ機会も激減、安全面を考慮して遊具をなくす公園も少なくない。

睡眠不足
あなたは昼間に、急な眠気に襲われることはありませんか?
「授業中に寝てしまう」「仕事中でもあくびをかいてしまう」人は、『睡眠不足』です。
睡眠の乱れによって睡眠に関わるホルモン(メラトニン)が十分に分泌されないと、体に活性酸素が過剰に増加し、免疫力が低下します。
昨今、日本人の平均睡眠時間は男女ともに減少化傾向にあります。
睡眠時間減少に伴って、アトピーをはじめとする生活習慣病が増えていることも明らかになっています。
日本は世界的に見てもアトピーが多い国です。
睡眠不足とアトピー発症率は因果関係にあると言えるでしょう。
たとえば、大学進学を機に一人暮らしを始めた人が、時給が良いからと深夜バイトを始めたことがきっかけでアトピーが発症してしまうこと。
新社会人になって慣れない環境や、毎日夜中まで仕事をしていることでアトピーが発症してしまうことも珍しくありません。

加工食品の過剰摂取
ご存知の通り、加工食品には食品添加物、合成着色料、保存料などの添加物が含まれています。
添加物は消化不良を起こしやすく、体内に毒素を溜めてしまう原因に。
この毒素がアトピー発症の要因の一つになっているんです。
「人間は食べたものから出来ている」「医食同源」という言葉があるように、毎日の食事が人間の体を形成しています。
添加物を過剰に摂取していては、様々な病気になってしまうのも頷けますよね。
忙しい毎日を過ごす現代人が、いかに野菜や果物を食べていないか表したグラフが以下です。
(引用画像:現代人の食と栄養 | フジッコの食育 | 知る・楽しむ | フジッコ株式会社)
上記の画像からも分かるように、15歳以上の目標摂取量が野菜・果物共に食べていないことが分かります。
また、日本人の食生活は年々欧米化してきています。

東京都が平成26年に「食生活と食育に関する世論調査」を行い、朝食の内容を調査しました。
結果は、パン派64%、ごはん派56%でした。平成24年の調査結果よりも、ごはん派は2%減少していることも年々食生活が欧米化していることが分かります。
洋食は、脂質や糖質、蛋白質が非常に多いため、栄養バランスが悪いです。
手軽に食事を取れる反面、加工食品の摂取が免疫力低下に繋がり、大人になってからアトピーになる人が増えているんですね。
物理的・精神的ストレス
あなたは現在、『ストレス』を感じていますか?
私たちの免疫機能はとても繊細で、自分がストレスだと感じていないことでも体の内部では異常をきたしています。
ちなみに、“ストレス=心の問題”だけと勘違いされがちですが、体が感じるストレスは物理的な問題でも生じます。
- 物理的ストレス:疲れ、痛み、気温の変化、姿勢、呼吸など
- 精神的ストレス:人間関係、性格、環境の変化など
以下の文章は、科学技術振興機構がストレスと免疫システムの関係を調査した文献の一節です。
大阪大学免疫学フロンティア研究センターの鈴木一博准教授らの研究グループは、交感神経から分泌される神経伝達物質ノルアドレナリンが、β2アドレナリン受容体注を介してリンパ球の体内動態を制御する仕組みを分子レベルで解明し、このメカニズムが炎症性疾患の病態にも関わることを突き止めました。
炎症性疾患とは、アトピー性皮膚炎も含まれており、ストレスが原因で発症することが証明されました。
「病は気から」という言葉を聞いたことはありますよね。
「病気は気の持ちようによって、良くも悪くもなる」という意味ですが、この言葉は海外では存在せず、根性論が強く根付いている日本ならではの言葉です。
自分でストレスとは感じていない場合や、疲れていても無理をして活動していると、短期的には大丈夫でも長期的に見れば病気を発症するリスクがあるんですね。

大人(成人)アトピーの対策法:『原因から見直す+保湿』
大人になってからアトピーになった人の対策法は、『原因から見直す』。
そして、プラスアルファで『保湿(肌をケア)』してあげる。それで十分。

原因でも紹介した順番で解説していきます。
- 運動は有酸素運動を中心に
- 質の良い睡眠を取る
- 腸内環境を整える
- ストレスを軽減させる
- 保湿で肌うるおってあげる
運動は有酸素運動を中心に
運動不足の人は、『有酸素運動などの軽い運動』をしてください。
有酸素運動は、酸素を効率よく取り込むことができることから、新しい健康な皮膚を生まれやすくしてくれます。
また、運動を習慣にすることで筋肉量が増えるので、これまた免疫力アップに繋がります。
参考有酸素運動とは、酸素を使って筋肉を動かす運動のこと。たとえばランニング、水泳、自転車などの長時間かつ運動強度が軽いものが当てはまる。
ちなみに、無酸素運動は、息を止めて行う運動の為、体はストレスを感じてしまいます。
トレーニングすることが好きな人にとっては行っても良いですが、無理して行う必要はありません。
参考無酸素運動とは、酸素を使わずに筋肉を動かす運動のこと。たとえばダンベルや腹筋運動などの短時間かつ運動強度が高いものが当てはまる。
アトピー肌の人の多くが、汗をかくとかゆみが増すため運動を避けている人が多いです。
実は私もそうでした。体が熱くなる、汗に触れることでかゆくなるんですよね。
しかし、運動は免疫力向上・血液循環・保湿機能とアトピー治療に大切な要素です。
運動によって表に出てきた汗は、タオルなどで拭き取っても問題ありませんので、こまめに汗を拭きとると痒みも軽減しますよ。
運動の詳しい説明は、以下の記事を参考にしてください。
▼『アトピーと運動の関係』詳しい説明はこちら▼
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質の良い睡眠を取る
睡眠不足だと感じている人は、ただやみくもに睡眠時間を確保すればよいのではなく、『質の良い睡眠』を取るべきです。
そもそも睡眠時間は、「6時間以上取るべき」という情報が一般的でしたが、最近の研究では間違いだったことが明らかになりました。
8時間以上取らないと日中眠気がさすようなロングスリーパーの方もいれば、4時間ほどで活動的に動けるようなショートスリーパーの方もいる。
睡眠時間というのは個人差があるので、一概に何時間寝れば良いというものではないんですね。
質の良い睡眠の話に戻りますが、たとえば、
- 睡眠の3時間前には食事を終わらせて胃を休ませておく
- 寝る1時間前にはスマホやパソコンなどのブルーライトから目を離す
- 毎日の起床時間を一定にする
などがあります。

医師の見解では、睡眠時間が短い人よりも睡眠の質が悪い人の方が早死にするとされておる。
話が長くなってしまうので、睡眠の質を上げる方法は以下の記事で説明しています。
気になる方は是非ご覧ください。
▼『睡眠の質を上げる方法』詳しい説明はこちら▼
関連記事【今夜から出来る!】睡眠の質を上げてアトピー治癒を早める5つの方法
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腸内環境を整える
免疫細胞の約70%が腸の中に暮らしているため、『腸内環境を整える』ことが大切です。
加工食品を過剰に食べていると、腸内は悪玉菌ばかりになってしまいます。
なので、食物繊維豊富な食品・発酵食品・ヨーグルト・乳酸菌飲料など腸内の善玉菌を増やす食品を食べると良いですね。
また、日本食が一番の健康食品|免疫力が向上する身近な食べ物とは?でも説明していますが、日本食はとてもバランスの良い食品の集まりで、健康を維持するために必要な栄養素を過不足なく摂取できる理想的な食事です。
主食(炭水化物、食物繊維)、主菜(タンパク質、脂肪)、副菜(ビタミン、ミネラル、食物繊維、脂肪)を一度の食事でバランスよく摂れる日本食は、健康食品に頼らずとも、健康な体でいられる一番の健康食品と呼ばれています。

▼日本食の詳しい説明はこちら▼
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人間は、自らが食べたもので出来ている。 病気の8割以上が腸内環境の悪化が原因と言われています。昨今、腸内の乱れは食の欧米化が進んでいるからです。加工食品は添加物や甘味料を多く使っているので、腸を冷やす ...
ストレス軽減
社会生活を行う上で、ストレスを感じないことは絶対にありえませんが、自分が本当に楽しめる『趣味』を持つことが大切です。
「趣味って言っても、私には何もないなぁ」と感じるかもしれません。
なんでもいいんです。
自分が好きなテレビドラマや映画、アニメを鑑賞することで楽しい時間を過ごせる。好きな作家の本を読むこと。好きなスポーツを休みの日に行うでもよいでしょう。
ストレスは目に見えないものですが、人間がストレスを感じる事例の9割が『人間関係』とされています。
私たちが生きている間で人間と接しないことは難しいですが、たまには一人になって趣味に没頭するのも良いですね。

人間関係や物事の捉え方が180度変わる。人生観が劇的に変化する人も珍しくないのでオススメの一冊じゃ。
保湿ケアを徹底する
肌がカサカサしているアトピー肌は、健康な皮膚よりも皮膚のバリヤー機能が弱まっているので、補助としてこまめに『保湿してあげると良い』ですね。
肌が乾燥しているとかゆみが起こり、それを掻いてしまうことで症状が悪化するという悪循環も起こりやすくなります。
アトピーの初期症状であれば、保湿をしっかり行ってあげることで症状が落ち着くことがあります。
お風呂上りや朝のお出かけ前などはもちろん、常に肌の状態をチェックして、乾燥を徹底的に防ぐことが大切です。
保湿剤は赤ちゃんでも使用できる『白色ワセリン』で十分です。
香料や美容成分などが入っている保湿剤は、使用を続けていると肌の刺激になって、かえってアトピーを悪化させる要因になるからです。

まとめ:大人(成人)アトピーの原因と対策法
アトピー性皮膚炎は現代病とも呼ばれ、「アトピー=赤ちゃんの病気」とは一概に言えなくなってきています。
子供の頃はアトピーじゃなくても、『運動不足』『睡眠不足』『加工食品』『ストレス』の主な4つの要因が重なり合うことで、大人になってから発症することも珍しくありません。
つまりアトピー性皮膚炎は、誰でも発症する可能性がある病気なのです。
大人(成人)アトピーの対策法は、日常生活を改めて、アトピー肌をしっかり潤ってあげることです。
初期段階であれば、以上の対策法で症状が落ち着きます。

日常生活をしっかり改めることで、時間はかかるが自然と寛解へ向かうぞ。
以上、大人になってからアトピーになった人は必読!成人アトピー発症の原因と対策法とは...でした。